誰かの困りごとを買い取り「ありがとう」に繋げる“お役立ちプロデューサー”
現在でも広まりつつあるクラウドソーシングですが、その実態を見るとPC作業の依頼が大半なのです。その背景には管理や成果物のやりとりの側面もあります。また、依頼もPCやスマホをインターフェースにすることが一般的であるため、デジタルデバイスを使いこなしている方だけのサービスになっています。
これからAIやロボットが普及していくと、人が作業するシーンは減っていくことが予想されています。その一方で、人は誰かの役に立たなければ、存在価値を感じられないため、どんどん不安が膨らんでいってしまいます。ちょっとしたことでも誰かの役に立って、感謝をされることが人が生きていく上で必要です。
AIやロボットが人の代わりにいろんな作業をしてくれる時代に、お役立ちプロデューサーが困りごとと対応スキルのマッチングを行い、特定の人によるソリューション提供でお役立ちスパイラルが生まれ、これが人々の存在実感を提供していくのです。
どんなスキルもほとんどはインターネット上に手順がわかるものがあります。そして動画等で理解することも可能です。AIやロボットはそれらのデータから再現をするようなことあるでしょう。ただし、そこに想いやストーリーはありません。どうやって教わるのか、どのように対応していただいたのか、どんな方がどんな想いで作ってくれたのか、そこの価値が重要になってくるのがAIやロボットが一般化する未来にはあります。
「あなたの役に立ててうれしい」という気持ちは人の根源的欲求です。そして人それぞれに想いもあります。例えば「私には孫がいないから、幼稚園の準備とか手伝えて、いい思い出になるわ。」というおばあちゃんもいるでしょうし、「実は将棋の相手がいなくて寂しかったんだ。」というおじいちゃんにとって、小学生とのリモート将棋は大きな楽しみにもなるでしょう。
健康寿命は肉体的なことも重要ですが、精神的なことが大きく影響を与えます。多くの高齢者が自分が必要とされているという実感を得られる環境を持つことで、高齢化先進国日本における健康寿命はもっと長くなる可能性があるでしょう。