縮小社会での「異業種結合」が新たな創造事業を生み出す
バブル経済がはじけ、景気低迷が長く続いた平成の時代は、ある意味でさまざまなものが統合され続けた時代だったと言えるでしょう。
統合の最も代表的な例が「平成の大合併」と言われる市町村合併です。地域財政の効果的運用を目的として行われたこの市町村大合併の結果、1999年3月時点で3,232あった市町村数はほぼ半減して、現在その数は1,718となっています。
これ以外に統合が進んだ業種としてあげられるのは、病院、銀行、百貨店やスーパーなど流通業界です。病院数は2000年時点では8,813施設ありましたが、その後は減少し、2019年時点で8,389(平成30年3月時点)とこの20年で400以上減少しています。
今後、国内人口の減少数はさらに加速していきます。国内市場の縮小がさらに進むのは社会において、経営困難に直面し、店舗数の減少、経営統合が進む業界がどんどん拡がっていくであろうことは想像に難くありません。
人口減少が進み、従来のマーケット・スケールが縮小していく中で、生き延びていくためには、既存事業に対し、経営組織学者チェスター・バーナードが語る「新しい価値創造」を加えていく必要があります。
その為の手段のひとつとして考えられるのは、「同業種統合による固定費の削減」ではなく、「異業種統合による新しい価値の創造」ではないでしょうか。
同業種同士だけであると、結果マーケット規模の縮小に合わせて経営サイズをダウンサイジングするという負のスパイラルに陥ってしまうケースが殆どです。
そうではなく、経営手法や蓄積された異なるノウハウを持つ事業同士が結合することにより、新しい価値を生み出していくことが、生き延びていくための方策になっていくに違いありません。
例えば、過去のケースで見ると、代表的事例として挙げられるのがゼネラル・エレクトリック(General Electric Company、略称: GE)です。同社はアメリカを拠点とした多国籍コングロマリット企業で、世界最大の総合電機グループです。医療機器や家庭用電化製品、金融事業など幅広い分野でビジネスを展開しています。
これは典型的なコングロマリット事例ですが、今後は単なる範囲の経済性ではなく、意表をつくような異業種結合が価値を生み出してくるかもしれません。そのキーとなるのは、当然のことながら「データ」です。例えば、住宅企業が自動車メーカーと結合する、携帯会社が病院と結合するといったことも起こりえるかもしれません。
全く異質な事業が統合されることによって生み出される今までの想像の範囲を超える価値創造が、これからの人口減少社会に求められてくる要件です。企業城下町があるのならば、思い切って市役所と企業が合併する。そのくらいの思い切った異結合がこれからの社会は求められてくるかもしれません。