“電子化粧”が新しい自分探しの市場をつくる

Instagram などソーシャルメディアに写真を投稿する際、自分の写真を加工する行為は“盛る”と言われソーシャルメディア好きの若い人々にとっては、もはや特別なことではありません。

目元、肌の色、輪郭、ほうれい線まで、加工アプリを駆使し、やりすぎと思われないギリギリの線を狙って写真の中の自分を理想の自分に近づける努力が日々行われています。

ソーシャルメディア世代にとって、自分像とは固定されたものではなく、TPOに合わせて変化させられる可塑性 のあるもののようです。

VRやAR技術の発展により、現実世界とデジタル世界の垣根はどんどん低くなり、未来のソーシャルメディアでは、写真に限らない、よりリアルで臨場感のある自分像を通じてコミュニケーションができるようになっているかもしれません。

そうなると、現実の自分像の価値は相対的に減少し、ネットを介してより多くの人々と交流するチャンスがあるソーシャルメディア上でのバーチャルな自分像の方がより重要だという、ある意味価値の逆転が生まれてくるでしょう。

そんな世の中では、お金を払ってでもソーシャルメディア向け理想の自己像をとことん追求したいという、いわば“電子化粧”の需要が本格化していくのではないでしょうか。

電子化粧

タレントやモデルのように、個人が専属“デジタル”メイクアップアーティストを雇うなんてこともあるかもしれません。“デジタル”メイクアップアーティストの技は、機械による加工臭のない、自然で豊かなニュアンスもった理想の自分像を実現してくれるでしょう。

現実世界で、自分の見え方を変えようとしても、自分本来の顔つきや体型など物理的な制限が存在します。しかし、“電子化粧”の世界に、物理的な限界はありません。

理想の自分探しという、際限のない人々の欲求を受けとめることができる“電子化粧”は、存外大きな市場を形成するかもしれません。

 

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