馴染むためのカメレオン消費が新しい消費スタイルに
これまで所有には、ステータスや自己表現という役割もありました。一方で、空気を読み、集団に馴染む、いわば、自己表現の抑制が求められることも多くあります。所有価値から使用価値の流れは、この所有に伴う自己表現に疲れ、そのモノが持つ機能価値のみに注目した消費ニーズの隆起とも言えます。このときの消費は、自己表現しないものであり、これを「馴染むためのカメレオン消費」と捉えました。
この時の商品などは、ブランドという主張もなく、また他の様々なモノとも共存できる、染まりやすく、目立たない、カメレオンのような性質が好まれるのではないでしょうか。
ファッションでは、古くからモノトーンが好まれています。これは、新たに購入するアイテム、時々のトレンドアイテムなどを活かす、馴染む側面もあります。また断捨離によるシンプルライフは、最小限のモノの所有に向かうものですが、そこで残されるものの多くは、飽きの来ない、それぞれが様々なシーンに馴染みやすいものだと言えます。このような、何者にも馴染むものを基礎とする消費が、今後ますます広がって行きます。