焦らない人々、長寿化によって変わるプロダクトの価値

遺伝子診断、細胞組織から臓器を作り出せるようになる、遺伝子を修復技術など再生医療技術が大きく進化し、今後は長寿化は大きく進行していきます。 

 ハーバード大学医学大学院教授D・シンクレア氏は「30年以内に、人間の寿命は劇的に長くなる。私の子どもの世代は、100歳以上の人生を楽しむのは当たり前。孫の世代になると寿命はさらに延びること。私の世代は、短い寿命を生きる最後の世代。」と語っています。

 65歳で定年し、あとは余生という常識はもはやなく、多くの人々にとって、今後は100歳以上を生きることを前提として人生設計を考えることになるでしょう。 

 50歳と言えば、会社員としては、そこそこ経験を積み、定年までのキャリア形成を意識する年代です。人によっては役員昇進のために立場作りに腐心することもあるでしょう。しかし100年生きる前提で考えると単なる折り返し地点に過ぎません。出世を焦る必要もないでしょう。 

 未来社会においては、長寿化により死や引退といった“人生の締め切り”はあたかも絵画の消失点のように遠く仮想的なものとなり、人々は考え方や価値観は、期限内の価値最大化から、持続性や継続性を重視する方向にシフトしていくと考えられます。 

 今ここでしか手に入らない、流行っているからといったコンベンショナルな需要喚起は、人生の残り時間はわずかという潜在的な意識を利用したものです。 

 長寿化した世界においては、長く使える耐久性、流行に左右されないデザインという大量消費を前提としないプロダクト開発が求められるにシフトする必要があるでしょう。また、100年先の未来を誰も見通すことができないなか、逆に今を楽しもうという新しい刹那主義のようなものも人々に生まれてくるかもしれません。 

 人生の締め切りが無限遠の時間軸を生きていく“焦らない人々”の心理を深く読み解き、マーケティングのパラダイムシフトが求められます。 

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