「アバター人生」~主婦、ときどき、バーチャル女優~

昨年7月、ピンク色のボブスタイルが特徴的な端正な顔立ちのモデルがインスタグラム上に登場しました。名前はimma@imma.gram)。2019年11月現在で15.7万人のフォロワー数を誇る彼女は、パリコレやブランドの展示会にも度々登場し、秋本梢や水原希子などとの2ショット写真も注目を集めています。実は、彼女は実在するモデルではなく、日本初のバーチャルモデルです。実写で撮影した身体と背景に、3DCGで作成した頭を合成して作り出されています。 

 現在、immaのようなバーチャルモデルは国内外で続々登場しています。バーチャルモデルの先駆けとなった黒人のスーパーモデル、Shudu@Shudu.gram。※フォロワー数19.1万人)や、「Not Mine」という楽曲でデビューし実際に音楽活動を行っているミュージシャン、Miquela@lilmiquela。※フォロワー数172万人)などは、数々の高級ファッションブランドの広告にも起用され話題を呼んでいます。 

 興味深い点としては、リアルと区別がつかないような匠な3DCG技術はもちろん、彼女たちが皆、出身地や生年月日をはじめ、職業や趣味などに至るまで、個性や人格をもって生活しているあたかも実在する人物のように細かなプロフィール設定がされ、多くのファンに支持されるインフルエンサーにまで成長していることです。 

最近では、こうしたバーチャルモデルに対し、企業やブランドとのコラボレーション支援やタレント育成などの取り組みをする事務所も誕生し始めています。 

 今は若い世代を中心に、スマホアプリを巧みに使いこなし、デカ目や美肌や小顔など、よりよい自分に写真を加工しSNSに投稿することが容易になりました。また、ツイッターやインスタグラムなどでは、アカウントの複数所持はもはや当たり前で、それぞれ異なるキャラクターを器用に使い分けてコミュニケーションする時代になっています。 

 今後、5Gが実用化されれば、動画配信を筆頭にバーチャルはもっと身近なものになります。さらなる技術の発達によって、素人でも容易に3DCGアバターを作成できるようになれば、こうした価値観の若い世代を筆頭に、バーチャル女優やバーチャルアイドル、あるいはバーチャルハリウッドスターなどとして、リアル人生とは別の「アバター人生」を送る生活が一般的になっていく時代も遠くないかもしれません。実在する人の登場しないバーチャル映画界など新たなエンターテインメント産業の隆盛といった可能性もあります。もしかするとお隣りの普通の主婦が、実は有名バーチャル女優なんてことも。 

GM昆虫
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