外国人の増加が「日本人による国内インバウンド・ブーム」を生み出す

人口減少が進む日本の中で、中長期的には人材の確保が極めて重要な政策となっていきます。在留資格を持つ外国人の数は、273万人(2018年時点)に達していますが、この数は昨年度、制度改定された技能実習生の増加とともに、今後毎年5万〜10万人規模で増加していくことが予想されます。仮に毎年10万人ずつ増えたとすると、2030年には400万人となり、この数は静岡県の人口(370万人)を凌ぎますが、毎年60万人規模で減少する日本総人口を歯止めとなることは出来ません。 

 在留外国人の内訳を国別に見ると、圧倒的に多いのは中国(77万人)、韓国(45万人)ですが、近年増加しているのは、ベトナム(33万人)、フィリピン(27万人)ネパール(9万人)、インドネシア(5.6万人)などの国々です。 

 異国の地において学び、働くことは、誰にとっても心細いことであり、自ずと同郷人同士が集まり、情報交換し、交流の機会を求めるようになります。そうして、異国人のコロニーが各都市に生まれていくことになります。 

 近年、日本においてもこうした異邦人コロニーが各地に数多く誕生しています。中国では、横浜、神戸、長崎の3大中華街に加えて、埼玉県川口市の「芝園団地」、西川口駅周辺、大阪の新今宮駅南口周辺に新たな中華街が生まれています。また、神奈川県横浜市泉区の「いちょう団地」周辺、松戸市、大阪府八尾市にもベトナムタウンと呼ばれるエリアが生まれています。中央線阿佐ヶ谷駅周辺には、ネパール人コミュニティが生まれつつあります。新大久保周辺は、コリアンに加えて、ハラル系食材店が多く存在していることからイスラム横丁と呼ばれるようになっています。 

 このように見ていくと、今後日本の各都市や地域は、増加する在留外国人のタイプに応じて、徐々にワールド・ショーケース化(ミート・ザ・ワールド化)していくことが予想されます。既に多くの移民を受け入れているアメリカやフランスではなじみの光景が日本国内でも生まれていくことになります。 

 国によっては、こうしたエリアの異邦人コロニー化が対立を生むこともしばしばですが、海外旅行好きの日本人によっては、ワンデイ・トリップ出来る手近な異国観光地として、日本人による国内インバウンド・ブームを生み出していくことになるのではないでしょうか。 

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