商店などを巡る自動巡回バスを、地域のサービス拠点に

日本では自治体の4割近くが過疎地域と言われ、そこでは路線バスの廃線が続き、移動手段の確保が重要な課題となっています。この解決策として路線バスの自動化が注目されています。この実現に向け、各地で実証実験が行われています。 

 現在、各地の実証実験は、自治体や既存交通事業者などが主体となり、これをIT事業者などがサポートしています。しかし、地域の実情を配慮するのであれば、小売やサービス業こそ、より積極的に関わる必要があるのです。なぜなら、買物は日常的な娯楽でもあるためです。 

 電通が毎年行う意識調査では、買物が楽しいと考える回答者が5割に迫り、この値は近年変化していません。買物とは会話の話題であり、高齢者にとっては運動の機会でもあります。この買物の楽しさを決める要因を、土木学会の論文では、一緒に買い物に行く「同伴者」と、地域を自分の町だと思うなどの「愛着」を上げています。地域を巡る自動巡回バスは、このいずれの要因も満たすのです。

乗客は、買物という共通の話題を持つため、乗客同士の会話も弾むと想像され、バスへの乗車によって同伴者が見つかるかもしれません。また、バスが巡回する範囲が、新たな地域を定義し、これが当該地域への愛着や絆の形成へ貢献します。これによって、地域住民の心身の健康が期待されます。健康になるのは住民に留まりません。巡回は、地域の購買力を一定程度抱え込むことになります。このように、自動巡回バスが買物の楽しさを演出することとなるならば、住民の健康に加え、域外への消費の流出を防止による経済面での健康も得られ、当該地域自体を健康にするのです。

 しかし、単に商店を巡る自動バスを走らせても、バス自体の付加価値化が進まなければ廃線は免れません。そこで、地域内の物流機能の補完、貨客混載などにより、移動手段に物流機能の付加が考えられます。また、自動巡回バスは、通信端末であり、巨大な情報処理機器です。そうであるならば、バスの中に区役所や郵便局などの簡易端末を設置し、各種サービス受付郵便ポスト受取、ATMなどのサービス提供進みます。これらの他にも、様々な事業者の取次機能などを付加することで、バスを高付加価値な移動サービスステーションに変化させるのです。以上のような、高付加価値な自動巡回バス、地域の利便性を向上させ、地域を健康体に変えていくのです 

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