大切なデータは、お金を預けて管理してもらう時代になる

インターネットが商用利用を開始して四半世紀以上が経過しました。デジタル化されたデータの流通量は米シスコシステムズによれば、2017年には1217億ギガバイト(=122エクサバイト)から、2021年には2.3倍の278エクサバイトに達すると予測されています。IoTの進展でこのデータ量はますます増えていくと予想されています。

しかしながら、「何でも、半永久的にデータがある」と思われていたインターネットで、「情報が消える」出来事が起きるようになっています。例えば、2019年4月にYahoo! ジオシティーズはサービスを終了しました。Yahoo! ジオシティーズはインターネット初期から親しまれた、無料ウェブサイトサービスの先駆者でした。そのため数多くの有用な情報も多かったのですが、サービス終了に伴い、それらのデータは消えてしまいました。

国際的な非営利のインターネットのアーカイブサービスとしてInternet Archive(Archive.org)もあるのですが、すべてのウェブサイトを常時クロールしているわけではなく、また、そもそも全てのデジタルデータがインターネット上にアップされているわけではありません。

身近な写真やビデオに関してもそうです。最近スマホと直結したクラウド上のストレージサービスも増えてきており、これは非常に便利ですが、こちらも、サービスが終了するリスクはあり、いつまでデータが保存されているかの保証はありません。

それでは、バックアップを取れば良いのか?という話ですが、ハードディスクについては機械的な故障のリスクがあるほか、デジタル記録媒体(CD-R/DVD)についてはディスクが劣化して、データが読み出せなくなる問題が昨今指摘されています。「CD-Rに焼いておけば安心」というわけではないのです。

つまり、デジタルデータをどのように保管し、次世代に残していくのか…という課題に対しては「こまめに、様々な手段でバックアップを取っておく」以外にいまのところ決定打が見当たらないという問題があります。これは、データ総量が増えていく中、デジタル社会の大きな課題になってくると考えられます。

また、年々増え続ける膨大なデータをどう整理するのかも重要な問題であり、個人管理には限界が生じてくるでしょう。となると、それらを一括して請け負うサービスが人気を集めるようになるのではないでしょうか。

一方で、公共的な側面にも注目すべきでしょう。今年起きたノートルダム大聖堂の火災の折、ゲーム制作のためにスキャニングされていた3DCGデータが再建に貢献する事例もありました。個人のデータ、公的なデータを問わず、社会的に有用なデータが保存されていれば、それが活用される機会は多くなっていきます。何らか、そうした公共的な価値を持つデータに関して、分散的にアーカイブしていくことも求められると考えられます。これはある種の文化や歴史遺産の継承でもあり、公的な取り組みも含めて、早急な検討が求められるでしょう。

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