“ネオ・リベラルアーツ”が未来社会で学ぶべき教養に

今後数十年で、AIや自動運転車、ロボットなどを筆頭にテクノロジーが社会や暮らしを大きく変えると予測されています。数十年先の未来に向けて子どもたちはもちろん、大人たちも、今、何を学ばなければならないのでしょうか。

科学技術などを挙げる人は多いでしょうが、一方で、これからは人文系の知も必須になってくると私たちは考えます。今回は、未来を予測する上で見過ごされがちな、人文系の知についてお話します。

今の時点でも少子高齢化や格差拡大、グローバリゼーションとダイバーシティーの進展などにより、従来の「幸福観」「あるべき社会や家族の在り方」「人間らしさ」は通用しなくなっている感があります。

この先、社会構造の変化や科学技術環境の進展などにより、さらに速いペースで社会の前提が大きく変わり続けるとすると、今以上に「人間らしさ」も変わっていくのではないでしょうか。

「みんな」に適用できる一律の制服のような道徳や価値観ではなく、これからは何が「人間らしさ」で何が「幸福」かについて、私たちが自分たちで考え、修正し続けなければならない時代になります。

そのためには、文学、哲学、倫理学、論理学といった人文系の学問を学ぶことが役に立つはずです。これらの学問には「幸福」「社会や家族」「人間らしさ」を何千年も考え、議論し続けてきた知の蓄積があります。

つまり、最新のテクノロジーに関する知に加え、人文系の伝統的な知を統合した、言わば“ネオ・リベラルアーツ”と呼ぶべき教養が必要になっていくのではないでしょうか。

ひとつ例を挙げます。プレゼントを交わしたり、おはようのあいさつを交わすのは「なんとなくロボットより人間相手の方がよい」と思いませんか?

人類学的に言うとプレゼント交換やあいさつは、「贈与」の領域の行為です。人間は、商品を取引するよりはるか以前の先史時代から「贈りもの」や「言葉」を、贈り・受け取り・お返しすることを延々と続けてきました。

「贈与」こそが人間性の本質、人間の定義だと言う学者もいます。今風の言葉で言えば、「贈与は人間のOS(基本ソフト)における重要なコード(CODE)」と言えましょう。

例えば、この「贈与」の行動にポイントなどの価値を付加し、ブロックチェーンなどのテクノロジーを用いて人々の間でポイントを流通させ、「贈与」の行動を循環・活性化させて関わる人々全体の「幸福度」を増やすようなシステムの設計には“ネオ・リベラルアーツ”の知が必要になるわけです。

今まで人間がしていた仕事をロボットやAIが担うようになったり、ベーシックインカム(※)が導入されたり、社会が大きく変わっていくならば、人間の未来を設計する際には、人間というプログラムのOSに立ち返ることが必要です。パソコンのOSを分からない人にパソコンの修理を任せたくないですよね。同様に、人間のOSをよく分かっていない人に、人間の未来の設計は任せられないと思いませんか? 

(※)政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を定期的に支給するという政策 

 

 

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